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医の倫理

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医療に携わるものにとって、医の倫理は何よりも大切なものです。医療人は古くから、この教えによって行動してきました。以下に【1】古い昔のもの、【2】近代の初頭のもの、そして【3】現代のものと、それぞれの「医の倫理」を示します。順に示すことで、医療倫理の流れが、よく把握できるでしょう。【3】のものが、現在の到達点です。私たちは、この現代の「医の倫理」に従い行動しています。

【1】ヒポクラテスの誓い

医学の祖・ヒポクラテス(古代ギリシアの人、紀元前460~375年頃)は、彼の弟子たちに、次のような「誓詞」を以て誓わせていました。

ヒポクラテスの誓い

医神アポロン・アスクレピオス・ヒギェイア・パナケイア、および全ての男神と女神とに誓う。私の能力と判断に従って、この誓いと約束を守ることを。

この術を私に教えた人を、我が親の如く敬い、我が財を分って、その必要あるとき助ける。その子孫を私自身の兄弟の如く見て、彼らが学ぶことを欲すれば、報酬なしにこの術を教える。そして書き物や講義、その他あらゆる方法で、私の持つ医術の知識を、我が息子、我が師の息子、また医の規則に基づき約束と誓いで結ばれている弟子どもに分ち与え、それ以外の誰にも与えない。

私は能力と判断の限り、患者に利益すると思う養生法を採り、悪くて有害と知る方法を決して採らない。頼まれても死に導くような薬を与えない。それを悟らせることもしない。同様に婦人を流産に導く道具を与えない。純粋と神聖を以て我が生涯を貫き、我が術を行う。結石を切り出すことは神にかけてしない。それを業とするものに委ねる。いかなる患家を訪れるときも、それはただ病者を利益するためであり、あらゆる勝手な戯れや堕落の行いを避ける。女と男、自由人と奴隷の違いを考慮しない。医に関すると否とに関わらず、他人の生活について秘密を守る。

この誓いを守り続ける限り、私はいつも医術の実施を楽しみつつ生きて、全ての人から尊敬されるであろう。もしも、この誓いを破るならば、その反対の運命をたまわりたい。

【2】フーフェランドの医戒

幕末の頃、日本にもたらされた西洋医学は、医の倫理を伴い、この国に広まってきました。当時の代表的な西洋医書が、ベルリン大学教授フーフェランド(C.W.Hufeland、1764~1836)の著した『医学必携(Enchiridion Medicum)』です。その最終章の「医師の義務」が『医戒』として翻訳され、大きな影響を与えました。医師が守るべき戒め「医の倫理」です。幕末維新期の医家・緒方洪庵は、これを12ヵ条にまとめました。これが『扶氏医戒之略』です。扶氏とはフーフェランド氏のことです。洪庵は大阪の適塾で、この大切な教えを門人たちに授けました。

緒方洪庵訳『扶氏医戒之略』

  • 医の世に生活するは人の為のみ、おのれが為にあらずということを其業の本旨とす。安逸を思はず、名利を顧みず、唯おのれを捨てて人を救はんことを希ふべし。人の生命を保全し、人の疾病を復治し、人の患苦を寛解するの外、他事あるものにあらず。
  • 病者に対しては唯病者を見るべし。貴賎貧富を顧みることなかれ。長者一握の黄金を以て貧士双眼の感涙に比するに、其心に得るところ如何ぞや。深く之を思ふべし。
  • 其術を行ふに当ては病者を以て正鵠とすべし。決して弓矢となすことなかれ。固執に僻せず、漫試を好まず、謹慎して、眇看細密ならんことを思ふべし。
  • 学術を研精するの外、尚言行に意を用いて病者に信任せられんことを求むべし。然りと言へども、時様の服飾を用ひ、詭誕の奇説を唱えて、聞達を求むるは大に恥るところなり。
  • 毎日夜間に於て更に昼間の病按を再考し、詳に筆記するを課定とすべし。積て一書を成せば、自己の為にも病者のためにも、広大の裨益あり。
  • 病者を訪ふは、疎漏の数診に足を労せんより、寧一診に心を労して細密ならんことを要す。然れども自尊大にして屡々診察することを欲せざるは甚だ悪むべきなり。
  • 不治の病者も仍其患苦を寛解し、其生命を保全せんことを求むるは、医の職務なり。棄てて省みざるは人道に反す。たとひ救ふこと能はざるも、之を慰するは仁術なり。片時も其命を延べんことを思ふべし。決して其不起を告ぐべからず。言語容姿みな意を用ひて、之を悟らしむることなかれ。
  • 病者の費用少なからんことを思ふべし。命を与ふとも、其命を繋ぐの資を奪はば、亦何の益かあらん。貧民に於ては茲に斟酌なくんばあらず。
  • 世間に対して衆人の好意を得んことを要すべし。学術卓絶すとも、言行厳格なりとも、斎民の信を得ざれば、其徳を施すによしなし。周く俗情に通ぜざるべからず。殊に医は人の身命を依托し、赤裸を露呈し、最密の禁秘をも白し、最辱の懺悔をも状せざること能はざる所なり。常に篤実温厚を旨として、多言ならず、沈黙ならんことを主とすべし。博徒、酒客、好色、貪利の名なからんことは素より論を俟ず。
  • 同業の人に対しては之を敬し、之を愛すべし。たとひしかること能はざるも、勉めて忍ばんことを要すべし。決して他医を議することなかれ。人の短を言ふは、聖賢の堅く戒むる所なり。彼が過を挙ぐるは、小人の凶徳なり。人は唯一朝の過を議せられて、おのれ生涯の徳を損す。其徳失如何ぞや。各医自家の流有て、又自得の法あり。漫に之を論ずべからず。老医は敬重すべし。少輩は親愛すべし。人もし前医の得失を問ふことあらば、勉めて之を得に帰すべく、其治法の当否は現病を認めざるに辞すべし。
  • 治療の商議は会同少なからんことを要す。多きも三人に過ぐべからず。殊によく其人を択ぶべし。只管病者の安全を意として、他事を顧みず、決して争議に及ぶことなかれ。
  • 病者曽て依托せる医を舎て、窃に他医に商ることありとも、漫りに其謀に与かるべからず。先其医に告げて、其説を聞くにあらざれば、従事することなかれ。然りといへども、実に其誤治なることを知て、之を外視するは亦医の任にあらず。殊に危険の病に在ては遅疑することあることなかれ。

【3】WMA「ジュネーブ宣言」、「医の国際倫理綱領」

古い昔から、医師のあるべき姿を規定し続けたものが「医の倫理」です。1947年、世界中の医師の声を代表する国際会議(パリ開催)が開かれました。第1回のWMA(World Medical Association、世界医師会)総会です。最高水準の医療、倫理、科学、教育、および医療関連の人権を実現するため、このWMAは活動を行います。その活動を通して、世界中の人々に奉仕することを、その使命とするのです。
1948年の第2回WMA総会(ジュネーブ開催)で「ジュネーブ宣言」が採択されました。翌1949年の第3回WMA総会(ロンドン開催)で「医の国際倫理綱領」が採択されました。私たちは、この宣言と綱領を大切にしています。

WMA「ジュネーブ宣言」

医師の一人として参加するに際し
  • 私は、人類への奉仕に自分の人生を捧げることを厳粛に誓う。
  • 私は、私の教師に、当然受けるべきである尊敬と感謝の念を捧げる。
  • 私は、良心と尊厳をもって私の専門職を実践する。
  • 私の患者の健康を私の第一の関心事とする。
  • 私は、私への信頼のゆえに知り得た患者の秘密を、たとえその死後においても尊重する。
  • 私は、全力を尽くして医師専門職の名誉と高貴なる伝統を保持する。
  • 私の同僚は、私の兄弟姉妹である。
  • 私は、私の医師としての職責と患者との間に、年齢、疾病もしくは障害、信条、民族的起源、ジェンダー、国籍、所属政治団体、人種、性的志向、あるいは社会的地位といった事柄の配慮が介在することを容認しない。
  • 私は、たとえいかなる脅迫があろうと、生命の始まりから人命を最大限に尊重し続ける。また、人道に基づく法理に反して医学の知識を用いることはしない。
  • 私は、自由と名誉にかけてこれらのことを厳粛に誓う。

WMA「医の国際倫理綱領」

医師の一般的な義務
  • 医師は、常に何ものにも左右されることなくその専門職としての判断を行い、専門職としての行為の最高の水準を維持しなければならない。
  • 医師は、判断能力を有する患者の、治療を受けるか拒否するかを決める権利を尊重しなければならない。
  • 医師は、その専門職としての判断を行うにあたり、その判断は個人的利益や、不当な差別によって左右されてはならない。
  • 医師は、人間の尊厳に対する共感と尊敬の念をもって、十分な専門的・道徳的独立性により、適切な医療の提供に献身すべきである。
  • 医師は、患者や同僚医師を誠実に扱い、倫理に反する医療を行ったり、能力に欠陥があったり、詐欺やごまかしを働いている医師を適切な機関に通報すべきである。
  • 医師は患者を紹介したり、特定の医薬製品を処方したりするだけのために金銭的利益やその他報奨金を受け取ってはならない。
  • 医師は、患者、同僚医師、他の医療従事者の権利および意向を尊重すべきである。
  • 医師は、公衆の教育という重要な役割を認識すべきだが、発見や新しい技術や、非専門的手段による治療の公表に関しては、十分慎重に行うべきである。
  • 医師は、自らが検証したものについてのみ、保証すべきである。
  • 医師は、患者や地域社会のために医療資源を最善の方法で活用しなければならない。
  • 精神的または身体的な疾患を抱える医師は、適切な治療を求めるべきである。
  • 医師は地域および国の倫理綱領を尊重しなければならない。
患者に対する医師の義務
  • 医師は、常に人命尊重の責務を心に銘記すべきである。
  • 医師は、医療の提供に際して、患者の最善の利益のために行動すべきである。医師は、患者に対して完全な忠誠を尽くし、患者に対してあらゆる科学的手段を用いる義務がある。診療や治療にあたり、自己の能力が及ばないと思うときは、必要な能力のある他の医師に相談または紹介すべきである。
  • 医師は、守秘義務に関する患者の権利を尊重しなければならない。ただし、患者が同意した場合、または患者や他の者に対して現実に差し迫って危害が及ぶおそれがあり、守秘義務に違反しなければその危険を回避することができない場合、機密情報を開示することは倫理にかなっている。
  • 医師は、他の医師が進んで救急医療を行うことができないと確信する場合には、人道主義の立場から救急医療を行うべきである。
  • 医師は、ある第三者の代理として行動する場合、患者が医師の立場を確実にまた十分に理解できるよう努めなければならない。
  • 医師は、現在診療している患者と性的関係、または虐待的・搾取的な関係をもってはならない。
同僚医師に対する義務
  • 医師は、自分が同僚医師にとってもらいたいのと同じような態度を、同僚医師に対してとるべきである。
  • 医師は、患者を誘致する目的で、同僚医師が築いている患者と医師の関係を損なってはならない。
  • 医師は、医療上必要な場合は、同じ患者の治療に関与している同僚医師と話し合わなければならない。この話し合いの際は、患者に対する守秘義務を尊重し、必要な情報に限定すべきである。

以上、医聖ヒポクラテス以来の「医の倫理」を、歴史的に眺めたわけですが、煎じ詰めれば「病者のために最善を尽くす」ということであります。私たちは、そのための不断の努力を積み重ね、今後も地域医療に邁進する所存です。

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